2017年12月15日金曜日

怖い絵展

上野の森美術館で開催中の『怖い絵展』を見てきました。

連日大混雑との事で、開館後すぐに着いてもすでに長蛇の列で、館内に入るまで相当時間がかかりました。

今回の目玉は『レディ・ジェーン・グレイの処刑』という、若くして斬首されたイングランド初の女王の絵。

彼女が断頭台に頭を載せようとする、その直前の刹那を描いたものです。

一緒に行った姉と、やはり絵画は実物を見なければいけないね、と話をしましたが、実際のこの絵から感じる悲壮感はすごいのです。

処刑寸前の絵という事で怖いっちゃ怖いのだが、それよりもジェーンの目隠しに巻かれた布と頬の隙間から、まだ幼い彼女の悲しみや戸惑い、諦め、孤独感が涙とともにこぼれてきそうで、なんとも言えない悲惨さと憐れみを感じるのです。

広告の印刷では全くわからなかった。

処刑執行人の憐憫に満ちた顔、彼女を断頭台へ導く司祭の優しさ、悲しみのあまり失神する侍女の遠い目も、実物を見なければ体感できなかった。

抗えない残酷さの中で、結婚指輪をはめたジェーンの無垢な美しさが際立って、なんとも言えない悲しさを感じる絵でした。

もう一つの目玉、セイレーンも実物は蠱惑的な美しさで、確かに怖いけど見とれてしまう美です。

今回見れて良かったと思いましたが、展覧会全体的に暗い絵が多く、姉と「家に飾る絵ではないね」などと語りながら帰りましたが、怖さでくくる展覧会もなかなか趣があってたまには良いと思いました。

私は切ない絵は好きなので、ミレーのオフィーリアに早くまた来て欲しいと願っています。

水底に沈みゆくオフィーリアの、恍惚とした表情がまた見たい。 

オフィーリアの口もとからこぼれる、消え入るような歌を聴きたい。

印刷物では聞こえないのです。

本物の絵は生きていると思うことがありませんか?

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